法律上の「夫婦」って?
法律上の「夫婦」は「婚姻」している男女を示します。
日本国憲法では、「婚姻」とは「両性の合意にのみ基づいて成立」と規定してあることから、婚姻は「両性」、つまり「男性」と「女性」の両方が合意する場合のみに成立すると解釈されることが一般的です。(ただし、法律の解釈はこれ以外にも様々あります)
「結婚」は、男女が、婚姻届を役所に提出することで成立し(法律婚主義)、戸籍上に両者の関係が記載され、その関係を公証してもらえます。そして、お互いの生活財の共有権や遺産相続権などを法律が保障することになります。また税法上、社会保障上の優遇措置などが受けられる。また、パートナーの一方が病気や障害を負ったときも、家族とみなされるため、互いの介護や看護などに特別な資格がなくても携われるようになります。
「婚姻」以外の夫婦のカタチ
実は「婚姻」以外にも、夫婦のカタチがあります。
「婚姻」は、将来夫婦になることを約束する男女間の合意のみにより成立する、いわゆる“婚姻の予約”のことです。
よく言われる「内縁(事実婚)」は社会的な事実として夫婦関係が存在しており、婚姻の届け出がなされていない準婚関係のことを示します。その要件は、①当事者に婚姻の意思が認められること、かつ②共同生活をしていることです。
「内縁」は、届け出がないこと以外は、法律上の夫婦と差異はありません。民法による婚姻の規定を類推適用しており、特別の合意がないかぎり、法律上の夫婦同様に取り扱われます。
ですので、長期間の同棲などの場合には法律上も夫婦と同じ扱いになり、年金などにも影響することもあります。
同性の場合はどうなるの?
これまでの「婚姻」、「内縁(事実婚)」の話は、異性同士であることが前提でしたので、同姓では残念ながら、現在の日本の法律では「夫婦」とは認められないのが一般的です。
同性のカップルは、法律上家族として認められないので、遺言書がなければ相続の権利もありませんし、葬儀の時も親族の席には座ることができなかったりするということが起こります。
さらに、「内縁(事実婚)」の状態では配偶者控除も受けることができませんし、保険金の受取人にもなれません(保険金の受け取りは、配偶者もしくは2親等内の血縁者と決められています)。
同性婚が法的に認められれば、上記のような同性カップルの不利益も解消されます。
ただし、最近では、同性カップルを「夫婦」を認める動きが出てきました。
例えば、自治体によっては、同性カップルに対して、『パートナーシップ証明』の交付をおこなっています。『パートナーシップ証明』とは、法律上の婚姻とは異なるが、自治体として同性カップルの宣誓書を受け取り、公認するというものです。これまで、渋谷区や世田谷区、北海道札幌市、兵庫県宝塚市、三重県伊賀市、沖縄県那覇市などで交付が行われています。
同性パートナー証明書は、法律上の効力はありません。ただし、例えば渋谷区の場合は、「LGBTのカップルを異性カップルと同等に扱うこと」の協力を自治体が企業に求めており、これに反した場合は、事業者を公表するという罰則が設けられています。このように、同性カップルへの理解が進んできていると言えるでしょう。
法律的にはどうなっているの?憲法の話
最近は、異性同士であっても婚姻届けを出さずに結婚生活を送る「内縁(事実婚)」のカップルも増えていると言われています。先に述べた通り、年金などについては「内縁」を「婚姻」と同等みなすなど、 あまり差がないです。
しかし、これは異性同士の場合であって同性同士の場合は「内縁(事実婚)」も認められていません。今の日本の法律では「結婚は男と女がするもの」になっているのが事実です。
その例として、
安倍首相は、2015年の2月18日の参議院本会議において
「現行の憲法の下では、同性の婚姻の成立を認めることは想定されていない」
という見解を述べられています。
しかし、早稲田大学の棚村政行教授は、
「憲法24条の主眼は、婚姻をかつての『家制度』から解放することにある。
当時、同性婚を念頭に置いた議論はされておらず、排除しているとまでは言えない。
憲法14条の法の下の平等などに照らせば同性婚を認めないのは問題だ」
と、同性婚を認めないのは法の下の平等に反するのではないかという意見を述べられています。
同性婚は認められてもいいのではないのかという意見もあるのが現状です。
これからの動きに期待しましょう。
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