時代は変わったなぁ~と自分の年齢をかみしめて考えてしまう。
しんじがゲイバーデビューした当時は、インターネットもまだまだ発展途上で、携帯電話でメールができるようになったことに喜んでいたような時代だ。
二丁目の情報は、専門誌では取り上げられているが、田舎に住む少年が容易に情報を収集できるような状況ではなかった。
その為、しんじも含め同世代の人たちのゲイバーデビューは自分より年上の諸先輩方に連れてきてもらうというのが定石だった。
その諸先輩たちとお知り合いになる為には、掲示板だったり文通などを通して交流を深める手法をとる。
現在はネットで当たり前のように二丁目の情報を収集できる。
どこにどのような店があるのか?一元さんでも入りやすいお店。女性も入店可能なお店など、雰囲気も口コミなどでわかるのである。
「初めてなのに一人でこの店に来るなんてすごいよね。ネットで調べてきたの?」
「はい。僕、年上の大きめの人が好きなんで、そういう人が集まる店って書いてあったので。」
二丁目のお店はカテゴライズがかなり細分化されている。
より出会いの確率を上げるためには、自分が好きなタイプの人が集まる店をチョイスするのが良いのである。
ちなみに、しんじが行きつけのこの店のメイン客層は30代~40代。
ママの好みか、ガタイが良いいわゆるイカニモ系のゲイが集まる店だ。
「今まで男性経験は?」
「ないです。初恋は部活の先輩でした。」
「男の子?」
「はぃ。」
恥ずかしそうに答えるケンスケをみて、なぜかしんじも頬を赤らめてしまう。
「何歳の時?告白はしたの?」
「中1の時で2つ上の先輩でした。告白できないまま卒業してしまって・・・。」
「その後は?」
「高校のときは、クラスメイトに片思いしてました。一緒の大学に行ったのですが、大学でその子に彼女ができて。。。」
「それ辛いよねぇ~。彼女の話とかされちゃうんでしょ?」
「そうなんですよ。SEXの話とかを嬉しそうにしてくるんですけど、うれしそうな顔を見るのはいいんですけど、なんだか複雑な気分でした。」
ゲイは多かれ少なかれこんなことを経験してきているだろう。
学校という閉じた世界で、自分のセクシュアリティを自認したうえで生活していくのは簡単なことではない。
「しんじさんはどんな感じだったんですか?」
と無邪気に聞いてくるケンスケに遠い目をしながら、自分の昔のことを思い出すしんじ。
「もう20年以上も前になるんだなぁ~。」
としんじが過去の思い出を語りだした。
この記事を書いた人
- セクシュアルマイノリティの女性と友情結婚生活を継続中のゲイ男子。
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