LGBTの普及、“誰もが願っている”ことではない?
①
私はストレート(異性愛者)でありながら、日本の性的マイノリティが望まれる「友情結婚」というマッチングサービスの運営をしています。
友情結婚とは、恋愛による婚姻関係(恋愛結婚やセックス・性的関係がある結婚)を考えるのが困難な人同士が、性愛関係なく婚姻関係を結ぶことです。
この結婚を願う多くは、自分のセクシャリティをオープンにしていません。
セクシャリティを誰かにいうことを「カミングアウト」と言うのですが、日本ではカミングアウトをしている人は少ないのです。
②
まだまだLGBT後進国
日本は世界でLGBT後進国だと言われています。
LGBTとはレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの略称で性的マイノリティを指しています。
13人に1人が性的マイノリティという調査が出ていますが、当事者じゃない人たちは身近に感じませんよね?
学校にも職場にも存在しているにも関わらず、そうした世間の認知度や国の対応が遅れていることで“後進国”と言われているのです。
ただ、最近はオネェタレントの人気やパートナーシップ制度、そして東京オリンピックが決まったことなどで、LGBT人権普及活動がメディアでもよく取り上げられるようになり、今までLGBTという言葉を知らなかった人も知るようになりましたよね。
では、あなたは身近なひとから“カミングアウト”されたことはありますか?
③
日本で、カミングアウトは“難しい”
普及活動を続けていけば、いつか日本も海外のようになるかもしれません
が、もしそうなるとしても数十年かかると思っています。
今、日本という国がLGBTの人権を認め、同性結婚を認めたとして、どのくらいの人がカミングアウトすると思いますか?
勘違いをしてほしくないのですが、LGBT普及活動に対して、決して反対しているわけではありません。むしろ賛成です。
ですが“誰にもカミングアウトしたくない”“できない”人たちもいるということを知っていただきたいのです。
④
もし自分が当事者だったら、両親に言えますか?
もし日本が海外のように同性結婚を認めたとしても、すぐに世間が理解するわけではありません。
学校、会社で偏見がなくなるでしょうか?
60代、70代、80代の両親が、泣かずに理解してくれるでしょうか?
「親にそういう子を産んでしまったのは自分のせいだと思わせたくないから」
「きっと泣くと思うから、言うのは辛い」
「70代の親が今更理解できると思わないから」
カミングアウトを誰にもしていない方の話を聞くと、やはり「自分の親に言うなんて考えられない」という方がほとんどです。
⑤
カミングアウトしていない人たちが望むことは?
「じつは日本が世界で一番LGBTの人にとって住みやすい、という話もあります。日本では誰もセクシャルマイノリティについて触れようとしないから、暮らしやすい環境になっている。同性婚を認めるなど、触れていくことで差別が生まれるんです。」
ある人から言われたことなのですが、まさにそうなんですよね。
日本人は他人に対して適度な距離をおき、未知の世界にはあまり触れようとしない人種です。それは、自分のセクシャリティに触れてほしくない人たちにとっては住みやすい環境なのかもしれません。
ですが、LGBTという言葉の認知度が上がり、日本で同性婚が認められたら、“触れてほしくない人たち”は、逆に住みにくさを感じるのかもれません。
私のクライアントの多くが、今までも、そしてこれからも、自分のセクシャリティをカミングアウトせずに生きていくとおっしゃっています。
そして、
「もし同性結婚が認められたら同性パートナーと結婚をされますか?」
と伺うと、みなさま口をそろえて「想像できない」と言われます。
マイノリティであっても「親を安心させることもできる“普通”の結婚がしたい」から友情結婚という選択肢ができたのです。
⑥
「当事者じゃないのになぜこの活動をしているの?」とよく聞かれます。LGBT普及活動で旗振りしている方は、基本的に当事者の方が多いのです。
でも普及活動をしているということは、自分のセクシャリティを他人にカミングアウトできる人たち。カミングアウトしていない人は、バレてしまうから表に立てません。
私は、その当事者の想いを代弁する存在です。
「幸せで楽しい人生を送りたい」誰もが願うことですが
幸せのカタチは“人の数だけ存在する”のだと思います。
LGBT後進国の日本ですが、日本ならではのカタチがあります。どんなセクシャリティであれ、それぞれが願う幸せのカタチに近づける環境になることを願っています。
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