「初めて”男子”に恋心のようなものを抱いたのは中2の時だったかなぁ~。」
しんじの発言に、ケンスケが割り込む。
「ようなものってなんですか?(笑)」
「その頃は、今みたいに情報がないから、自分がいわゆるゲイなのかどうかとか良くわからなくてね。今思えばあれは恋心だったんだろうなと思うけど、当時はすごく仲の良い男友達がいるって感じだったんだよ。」
もちろんこの当時もオネェキャラの芸能人は存在していたが、現在のような地位を確立しているようなものではなかった。
辛口なファッションチェックや映画評論をする某双子オネェや、紅白歌合戦にも出ていたさそり座の〇が代表曲の歌手など、ある意味特殊な人というくくりになっていた。
そもそも、その人たちがどういうプライベートなのか?などということは興味もわかなかったし、そんな情報も全くなかったのだから、自分がそうであるという考え方など生まれても来ないわけである。
「そうなんですねぇ~。なんかそれって大変ですね。」
と、ケンスケが言うのだが、しんじは若い子のこういう発言に違和感を感じている。
正直別に大変ではなかったのだ。
自分は周りと違うのかな?という感覚はあったし、その正体を知るまでに時間はかかったが、それが大変だったとか辛かったという思い出ではないのだ?
「大変ってことはないんだけど、ケンスケ君は初恋で先輩を好きになったとき、大変だったの?」
としんじが質問するとケンスケが答える。
「大変でしたよ!自分はゲイなんだ。普通じゃない。どうしようって悩みましたし、きっと勘違いだって思うようにしたりして、軽いパニックでしたもん。」
そんなケンスケの話を聞きながら、そもそも「恋をするってなんだろう?」という哲学的なことをしんじは考えていた。
そして、最近の若い子がどう考えているのかが気になりだしたのだ。
「そもそもなんで先輩のこと好きっていうか恋心を抱いたの?」
「先輩は新入生の指導役の人で、とにかく優しくしてくれるんですよ。特に僕にやさしくしてくれるような気がして、気になりだして、毎日目で追うようになって、今日も会いたいなと思うようになって。。。次第に直視できなくなって、それって恋しちゃったのかな?と思いました。」
どこかの少女漫画に出てきそうなエピソードだが、ある意味王道な感じだ。
「しんじさんはどうだったんですか?」
「僕の場合は・・・その子はテストの点数も学年トップクラスで、部活でスポーツやってて女子からもすごく人気のある子だったんだよね。顔は今思えばそれほど良くもないんだけど、中学生の時とかって、顔だけじゃなくて勉強とかスポーツとかできる子って無条件にモテたりするじゃない?まぁ~そんな子だから、僕からすれば別世界の人って感じだったかなぁ~。」
「憧れって感じですか?」
「いやいや。同級生だったし、憧れってのとは違うんだよね。きっかけはたぶん、春のスポーツテストで短距離走した時だったと思う。」
「スポーツテストってなんっすか(笑)」
この記事を書いた人
- セクシュアルマイノリティの女性と友情結婚生活を継続中のゲイ男子。
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